« 私の川柳観について | トップページ | »

2007年8月14日 (火)

小林英夫教授を囲む「満洲」の会 会報第二号

小林英夫教授を囲む「満洲」の会 会報第二号(2007.8.6)

一.第3回公開シンポジウムのご報告

◎「満洲と日中戦争」 講演・小林英夫教授
8月6日(月)13時、早稲田大学19号館711号教室に約90名の参加者を集め行われました。
講演後、参加者からの多くの質問に答えられ皆さん満足した様子で会場を後にしました。

1.日中戦争の勃発
 ①宣戦布告なき戦争だった 100万の軍隊、20万の戦死者、「事変」という呼称
 ②1937年の複雑さ (国共合作、戦意高揚) (財界交流、佐藤外交) (軍の策動)
 ③謎の多い盧溝橋事件―発砲者は誰か?
 ④日中全面戦争になるのは1937年7月7日よりは8月15日である。
2.華中戦線が主戦場に転換
 ①華北主戦場→華北を固める→華中へというシナリオは?
 ②実際には華北・華中同時戦場→華中主戦場へ 外国勢力と結びつく可能性を秘めた勢力を蒋介石側へと追いやることとなる
 ③蒋介石側の意図と戦略の無理解→最初から消耗戦略でいく宣言→遷都宣言にもかかわらず南京にこだわった日本軍指導部の独断→南京占領作戦の強行→南京事件
3.汪兆銘政権擁立路線の登場と展開
 ①外交ではなく謀略による汪兆銘引き出し→軍の作戦活動の一環としての外交戦略
 ②外交(ソフトパワー)を主戦略とした中国と武力(ハードパワー)を主戦略とした日本
 ③基盤を破壊された華中地域→奥地への移転→日本はなお利権を追及→北支那開発・中支那振興株式会社の設立(1938.11)
 ④顧問制による軍政経の掌握→そうした条件化での汪兆銘政権の行動 「日支新関係調整方針」「日支国交調整原則に関する協議会」→高宗武、陶希聖の反乱
 ⑤対英米宣戦布告→租界の回収
4.殲滅戦略(ソフトパワー)と消耗戦略(ハードパワー)
5.『関東憲兵隊通信検閲月報』にみる日中庶民の戦争観
6.満洲と日中戦争
 ①盧溝橋事件の時の東條の動き→関東軍が絡む、満鉄が動く
遼寧省档案館編(小林英夫解説)『満鉄と盧溝橋事件』柏書房、1997
②後方兵站基地=満洲
 主要軍需資源の供給地だった満洲
 銑鉄 普通鋼 鉄鉱石 石炭 硫安 アルミニューム
③物動計画でも満洲は大きな位置を占める
④対ソ戦向けで兵員は送らず しかし関東軍憲兵隊が治安関係を掌握
(詳しくは 小林英夫・張志強編 『検閲された手紙が語る満洲国の実態』 小学館、2006)
⑦華中宣撫工作に満鉄調査部員が派遣される
(詳しくは 小林英夫 『満鉄調査部の軌跡』 藤原書房、2006)
参考文献
小林英夫 『日中戦争 殲滅戦から消耗戦へ』 講談社新書、2007
小林英夫 『帝国日本と総力戦体制』 有志社、2004


二.大浦章郎氏の逝去を悼む
  昨年の「満洲の文化」講座を受講された仲間のお一人である、大浦章郎氏が去る二月二七日病気の為永眠されました。氏のご冥福を祈ります。

三.小林英夫教授の新刊・旧刊から

◎ 『日中戦争 殲滅戦から消耗戦へ』 講談社新書1900  \720  (最新刊)

近代日本にとって最大最悪の戦争だった日中戦争。
軍事力で圧倒する日本が弱敵・中国に惨敗したのはなぜだったのか?
両国の戦略の違い、その根底にある国民性の違いまで分析し、
これからの日中関係を見通す決定版!
新史料『検閲月報』から、両国民の封印された「肉声」の数々も紹介。

序章 殲滅戦争と消耗戦争
第一章 開戦への歩み
第二章 破綻した戦略
第三章 傀儡の国
第四章 見果てぬ夢
第五章 二つのパワー
第六章 『検閲月報』を読む

◎ 『日中戦争と汪兆銘』 (歴史文化ライブラリー158) 吉川弘文館 \1700  (2003)
   辛亥革命以後、国民国家形成のうねりの中に生きた汪兆銘、日中戦争「和平」のため日本軍に近づき、傀儡政権を南京に樹立したが・・・。裏切り者に転落した生涯と、政権下の内政、外交、庶民生活など、知られざる実像に迫る。

中国人にとっての日中戦争―プロローグ
国民政府の誕生 (二人の青春・辛亥革命まで 国民政府のなかの蒋と汪)
日中全面戦争 (日中戦争勃発 日中和平工作)
汪兆銘政権 (汪兆銘政権の誕生 清郷工作 法幣問題 民衆動員組織)
日米開戦と汪兆銘 (汪政権の外交政策 占領下の庶民生活 敗戦と漢奸裁判)
日中戦争と汪兆銘―エピローグ

四、朝日カルチャーセンター秋学期の小林英夫先生の講座のご案内
  「太平洋戦争と満洲・日本・アジア」  木曜日15時30分~17時  全7回  (受講料 20580円)
本講座は「満洲と日中戦争」の続編として、太平洋戦争に焦点をあて、戦争に至る経緯と占領下の状況を、占領行政文書を使って解明する。
1回 10月 4日 太平洋戦争への道    2回 10月18日 太平洋戦争下の「満洲」
3回 11月 8日 太平洋戦争下の中国   4回 11月15日 太平洋戦争下の朝鮮
5回 11月29日 太平洋戦争下の台湾   6回 12月 6日 太平洋戦争下の東南アジア
7回 12月20日 まとめ

*************************************

編集責任・小林英夫教授を囲む「満洲」の会

|

« 私の川柳観について | トップページ | »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/56468/7534481

この記事へのトラックバック一覧です: 小林英夫教授を囲む「満洲」の会 会報第二号:

« 私の川柳観について | トップページ | »